抄録
本研究では, 服装による印象形成過程における手がかりの優位性について検討を行なった.男子大学生に女子大学生の全身写真を提示し, その服装特徴から着装者のパーソナリティを推測させた.林の数量化理論I類による分析をおこない, 因子分析により抽出された3つのパーソナリティ次元 (個人的親しみやすさ, 活動性, 社会的望ましさ) の認知に対して個々の服装特徴がどのように影響を与えているかについて調べた.
この結果から, 3つのパーソナリティ次元に共通して優位にはたらく手がかりは「上衣の型」と「上衣の色」であるが, さらにそれぞれの次元には固有の優位な手がかりが存在することが明らかになった.すなわち「個人的親しみやすさ」の次元では上記にくわえて「上衣の柄」が, 「活動性」の次元では「下衣の型」が, また「社会的望ましさ」の次元では下半身における衣服の諸特徴がそれぞれの印象を規定していることがわかった.