抄録
本研究では、瀬戸内海流域の上下流の連携が強調される中、住民が瀬戸内海や流域をどう認識しているのか、その認識が市民活動への参加とどう関わるのかを明らかにした。そのために流域住民へのウェブアンケート調査を行った。流域住民を対象としたにもかかわらず、流域内に住んでいる認識が曖昧な人がかなりいた。この層は、瀬戸内海への関心が低く、環境問題に関する情報を集めることに消極的で、市民活動への参加も少なかった。そもそも市民活動への参加経験者はとても少なかった。参加実績のある層と参加希望層を比較したところ、両者の差は明確で、参加実績のある層は環境問題に関心が高く、具体的な活動団体を知っている傾向が強く、参加希望を示す層は、友人から誘われるなら参加するという受動的傾向が認められた。回答者の居住地認識は、環境認識や参加実績に差を示すものの、参加の有無を説明する変数として、他の変数ほどの説明力はもたなかった。