抄録
積雪寒冷地に建つ建築物では,吹雪により屋根上や建物周囲において吹きだまりが発生する.吹きだまりは,偏荷重の発生や避難経路の埋没など建築物の安全性を妨げる要因となり,居住環境の悪化や除雪作業の増加にも繋がる.積雪寒冷地に建つ建築物において安全性と快適性を確保するためには,吹雪対策が極めて重要である.本稿では建築分野における吹雪研究の変遷について概観し, 研究の現状と今後の課題を整理する.まず,南極観測基地などに代表される建物周囲の吹きだまりを対象とした研究について述べる.続いて,屋根上の雪荷重評価のために行われた吹雪研究を紹介する.最後に建築分野における吹雪研究の今後の課題について議論する.