抄録
ワイヤーの熱伝導率λに等しい仮想的水膜(等価水膜)の導入により,復氷過程における水膜内の温度分布,熱流線,水膜厚さなどの新しい解析法を考案した.これはOrnsteinやNyeによるワイヤー内の直線温度分布を等価水膜内にも適用可能にし,等温線を平行直線群とした.等価水膜を実際の厚さに戻した等温線図から水膜内の熱流線が作図され,界面における熱流の屈折が示された.実測の貫入速度と最大駆動圧力,ワイヤーの熱伝導率,太さなどとの関係を水膜厚さに関係づけた解析を可能にした.水膜は従来考えられていたものより一桁厚い結果となった.扁平ワイヤーではワイヤーの貫入姿勢により,ワイヤー前面の水膜厚さが異なり,貫入速度に違いの生ずることが示された.貫入速度の測定から水膜は熱伝導率の大きいワイヤーほど厚くなったが,熱伝導率の大きいアルミニウム,銅,銀の速度が鉄やピアノ線より遅いという新事実が見出された.次に,ワイヤーを水の熱伝導率に等しくおく,等価太さ法を導入し,熱伝導率の異なるワイヤー間の貫入速度の比較などを容易にした.