抄録
エドマ層は周氷河地域で形成され,永久凍土として現在まで残る.エドマの堆積過程において,その堆積物と氷体にはそれぞれ異なった仕組みで古環境情報が記録されている.アイスコアからの古環境情報が得られない北東シベリアやアラスカの陸域でも,エドマ層を含む永久凍土に地域的な古環境情報が詳細に記録されており,今後の気候変動と永久凍土変化の相互作用を予測するためには,永久凍土を利用した古環境復元が重要な情報源となる.本総説は,北極シベリア・ラプテフ海周辺のエドマ調査から得られた古環境情報に関する研究結果を中心にまとめ,今後の課題を展望した.ラプテフ海周辺については,過去5万年間の詳細な環境変化に加え,現在よりも温暖であったエーミアン最終間氷期を含む約20 万年間の古環境が復元されている.エドマ層の形成環境については,排水状況の悪い緩傾斜の堆積平野と霜食作用テラスの縁や低い丘陵地に溜まる多年性雪田に深く関係していると最新のエドマ研究は結論づけた.今後の課題は,エドマ氷体が成長する際の応力分布歴,アイソスタシーに起因する地殻変動の影響を解明し,試料のサンプリング方法と年代決定法を再検討することである.