抄録
重力衛星GRACEやレーザー高度衛星ICESatのような宇宙測地衛星が台頭したことで,アジア高山域が有する広大な山岳氷河群の質量収支を,遠隔から連続的に計測できるようになった.これまでMatsuo and Heki(2010)とJacob et al.(2012)によって,GRACE重力データから,アジア高山域の氷河質量収支が推定された.しかしながら,その結果は,前者が年平均−47Gtの顕著な減少,後者が年平均−11Gtの僅かな減少,と互いに大きく異なっていた.本稿では,これら2つの研究について詳しく解説し,GRACEでアジア高山域を観測する際に配慮すべき幾つかの重要点を記述する.それらを把握した上で,新たなGRACE データ(Release05)と解析手法を用いて,アジア高山域の氷河質量収支を再推定する.最後に,ICESatを用いた近年の研究報告について解説する.