抄録
2014年2月8日,14日に日本に接近した二つの南岸低気圧は関東甲信に大雪と雪崩の多発をもたらした.両低気圧降雪時,新潟県長岡市と新潟市においてレーダー,降雪粒子の粒径・落下速度,降雪を構成する雪結晶の判別等の諸観測が行われた.その結果,両低気圧による主要な降雪は,季節風冬型時に多い樹枝状雪片とは異なり,−20℃以下で成長する角柱,角板,交差角板,砲弾などの低温型雪結晶から成る雪片であり,接地時に構成雪粒子へとばらばらに崩れやすい特徴をもっていた.降雪時のレーダーエコーは高度5km以上に達し,気象モデルの解析値によれば,5km以上の気温は−20℃以下であり,高い雲底高度から地上まで相対湿度が高く,低温型雪結晶の生成とそれが地面まで到達できる条件が整っていた.一方,関東甲信の雪崩では,粒子間の結合が弱いサラサラとした雪による雪崩であったことや現場の積雪内に低温型雪結晶を含む層が観測されたことが報告された.過去の研究にも低温型雪結晶からなるサラサラとした雪による雪崩の多発の報告があることから,今回の関東甲信の雪崩の多発には,新潟県下と同様の低温型雪結晶を多く含む降雪が関与したと推定された.