2014年2月8〜9日と2月14〜15日の関東甲信地域の大雪時における都心部の積雪深はいずれも27cm(東京管区気象台)を記録し,2月15日には同地域で建物等の損壊被害が多発した.この2回の降雪中に都心部の2か所で積雪密度の調査を行い,2月8日が122と130kg m
−3,2月14日が258と270kg m
−3で前者の2倍であった.2月8〜9日は降雪のみであったが,2月14〜15日は降雪が途中から降雨に変わり,雨水が積雪中に滞留した.降雪時間帯における積雪密度の差に加えて積雪発生後に降雨があったかないかが,建物損壊の多少に大きく影響した.雪荷重の正確な推察には積雪深と降水量の時別値を用いた時系列計算が必要であることが判明した.
そこで,時系列データが存在する過去24冬季に遡って雪荷重を時系列計算した結果,2014年2月15日のピーク雪荷重は941N m
−2(=96mm)と推算された.その再現期間評価を行ったところ,ガンベルプロット上では2014年以前の23冬季の傾向からは大きく外れはするが直線外挿すると240年となった.
一方,2014年2月14日の17時前後には都心の高層ビル(170m高)の地上と屋上で気温と積雪密度を計測した.地上はプラス気温(0.6℃)で積雪密度270kg m
−3だったのに対し,屋上はマイナス気温(−0.8℃)で積雪密度は144kg m
−3であった.地図上では同一地点でも高さによって積雪密度は大きく異なった.高層建屋の雪荷重を推算する場合でも積雪深と降水量の時系列値を用いる方法が有効であることが分かった.
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