抄録
雪崩を質点や剛体と仮定した流動モデルでは,雪崩の高さや広がりがわからないなど防災上不備な点も多い.こうした背景のもと,連続体モデルTITAN2Dを用いて雪崩の運動シミュレーションを試みた.本稿では2012年1月16日に山形県最上郡大蔵村肘折地区で発生した乾雪全層雪崩への適用例を紹介する.モデルに入力する底面摩擦角は,雪崩の発生規模と到達距離に関する先行研究から,また内部摩擦角は雪玉状となった雪塊の堆積形状から安息角をそれぞれ見積もって計算を行った.その結果,先端速度と流下距離を高い精度で再現することに成功した.
次に,上記の結果に基づいて,当該地区の雪崩斜面を対象に,多項式カオス求積法(Polynomial Chaos Quadrature:PCQ)を用いて,雪崩の発生規模や底面摩擦角など,モデルに入力するパラメータの不確定性を考慮した確率論に基づく雪崩ハザードマップを作成した.