雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
低温風洞装置を用いた硬雪時の水平面風向直交方向への吹雪粒子の速度と角度
杉浦 幸之助 大井 聖也根本 征樹小杉 健二
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 83 巻 3 号 p. 285-297

詳細
抄録

風が強まると,雪粒子は雪面と衝突・反発・射出(スプラッシュ過程)を繰り返し,吹雪が立体的に発達していくことになる.本研究では,風洞装置を用いて硬雪時のスプラッシュ過程によりどのように風向に直交する水平方向に吹雪が発達するのか検討した.風洞実験の結果,風速が6.0ms−1から8.0ms−1へと増すにつれて,粒子に作用する空気抵抗により,水平面衝突速度は速くなり,角度は風向方向に近づいた.また,水平面反発速度の平均は衝突前の0.66倍であった.個々の粒子の水平面衝突速度に対する反発の比(水平面反発係数)はおよそ0.2から1まで広く分布していた.さらに,これまでの鉛直断面からの観察では捉えることができなかった水平面風向直交方向に大きく反発する粒子が実験的に確認され,このような粒子が水平面風向直交方向への発達を担っているといえる.衝突する際の幾何学的関係から水平面反発角度の分布が説明された.加えて,風速が増すにつれて,鉛直方向と風向直交方向の飛雪流量の割合がわずかに変化していた.同じ吹走距離で比べると風速の増加とともに雪面への衝突回数が少なくなるために風向直交方向の発達が弱かった可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本雪氷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top