2026 年 88 巻 3 号 p. 169-185
近年,除雪人員の高齢化や人手不足が深刻化しており,路面状態の悪化等に起因する交通障害につながるリスクを迅速に把握する自動化・省人化技術を用いた効率的な管理手法の確立が課題である. そこで本研究では,気象,交通量および除雪データの各種時系列データを統合し,6時間後の冬期路面状態を予測するモデルを構築した.夜間や降雪時に誤判別が生じやすい画像認識に依存せず,これらの条件下でも安定して予測可能な手法として,Long Short-Term MemoryとMulti-Head Attentionを組み合わせた深層学習モデルにより,6時間後の路面状態(乾燥・湿潤,シャーベット,圧雪)を推定した.新潟県長岡市の峠部で取得した約1か月の観測データを用いてモデル構築および検証した結果,テストデータに対して約72 %の正解率を示し,特に圧雪状態を高い再現率で予測できた.特徴量の重要度評価では,降雪量,交通量,気温および除雪経過時間が精度向上に一定の寄与を示し,アブレーションスタディより除雪経過時間の必要性がより明確となった.本手法により,従来の目視監視に比べ人的負担を軽減しつつ,路面状態の悪化を事前に予見した計画的な除雪対策が可能となり, 冬期道路管理の効率化に寄与することが期待される.