本研究は,日本全国349箇所のスキー場を対象に,d4PDF5 kmデータとSNOWPACKモデルを組み合わせ,過去実験(1950~2010年)および全球平均気温2 °C・4 °C上昇実験の結果を比較することで,将来の自然積雪条件に基づくスキー場の存続可能性を評価した.その結果,温暖化の進行に伴いスキー場の存続可能性は急速に低下することが明らかとなった.特に4 °C上昇実験では,天然雪のみで安定的に全部営業が可能なスキー場は全国で7箇所,一部営業が可能なスキー場も26箇所に限られ,日本のスキー産業は壊滅的な影響を受けると予測された.一方,2 °C上昇実験では,高緯度・高標高のスキー場を中心に一定の営業可能性が残り,北海道や長野県の高標高地域に相対的な存続優位性が確認された.また,新雪日数も全国的に減少し,4 °C上昇実験では多くのスキー場で年間10日以下となる一方,一部地域では20日前後を維持する可能性が示された.以上の結果は,温室効果ガス排出削減による温暖化抑制の重要性と,スキー産業の地理的集約が進む中で,日本全体におけるスキー実践機会をいかに確保するかという実践的課題を提示している.