雪氷
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経済的な新雪除雪基準の評価
上村 靖司
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1998 年 60 巻 1 号 p. 25-35

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抄録
道路の新雪除雪を行う場合に,経済的に最も効率の良い出動基準を,雪害度(金額として表す雪害の度合)を用いて評価した.まず,気象データを用いる積雪重量推定式に,除雪の項を加えることによって,道路上の積雪量が所定の値(除雪基準)を越えないよう除雪を行うという条件でシミュレーションを行った.次に日々の残雪量から道路の機能低下の度合を推定し,その年間合計が,何日間の道路完全閉鎖に相当するか(相当閉鎖日数)を計算した.この相当閉鎖日数から年間の便益の低下を,総除雪日数から年間の除雪費用を求め,両者の和である雪害度が最も小さくなる除雪基準を求めた.その結果,長岡市の市街地に対しては,大雪年,少雪年に関らず,道路上に5~9kg/m2程度の積雪があるときに新雪除雪を行うと最も経済的であることがわかった.これは,現在採用されている除雪車の出動基準とほぼ一致する.
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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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