2001 年 63 巻 2 号 p. 191-200
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岩屑に覆われた永河の融解過程は複雑で観測が困難なためこれまで詳細な研究が少なかった.当初の研究は岩屑に覆われた部分に重点がおかれ,均一な厚さの岩屑に覆われた氷雪の融解についての実験的研究が多くの研究者によって行われてきた.実際の氷河では岩屑の粒径,組成,厚さなどの分布を広い面にわたって把握することが困難であった.そこで近年発達した衛星画像で得られた表面温度分布から消耗域全体の融解量を推定するモデルが開発された.このモデルにより推定された値は実際の岩屑に覆われた氷河の融解量よりも大きくなった.この原因は岩屑氷河の池や氷壁の部分で大きな熱の吸収が氷河の融解を促進させていることが一因と考えられる.