環境科学会誌
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2014シンポジウム論文
久米島農家の赤土流出対策実施・サトウキビ作型選択の要因
岡川 梓堀江 哲也須賀 伸介日引 聡
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2015 年 28 巻 6 号 p. 432-437

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抄録

沖縄において,赤土等流出問題により,河川や海中の生物多様性に大きな影響が出ていることが知られている。赤土等流出の流出源の1つが農地であり,農家の作物選択や,基幹作物であるサトウキビの作型(春植え・夏植え・株出し)により赤土等流出量が変化すると考えられており,サトウキビが赤土流出問題の大きな要因となっていると考えられている。
本研究では,2014年6月に久米島内の花卉農家・サトウキビ農家を対象として実施したアンケート調査の結果から,作物・サトウキビ作型選択や赤土流出対策を実施する農家のインセンティブに与える要因を明らかにし,農業経営に適した赤土等流出対策のあり方を検討する。調査の結果から,高齢農家ほど,赤土流出対策を実施していない傾向があることがわかった。また,費用や労働力不足が対策実施の阻害要因となっているという意見が聞かれた。さらに,サトウキビ作型については,高齢農家ほど夏植えを選択する傾向があること,栽培作物ごとの農家の特徴としては,サトウキビ農家は花卉農家に対して高齢化が進んでいること等が明らかとなった。また,株出しの連続実施年数は土壌の質に影響されていることが地域ごとのヒアリングから明らかとなった。

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