2018 年 31 巻 2 号 p. 59-67
Mnは様々な産業から環境へ排出されており,Mnが農耕地土壌へ移行した場合,農作物中Mn濃度の上昇が懸念される。同じ作物種でも作物中のMn濃度は様々な要因により変動するため,その変動要因を知ることは産業から環境へのMn負荷の環境影響評価に役立つ。本研究では,全国63地点から採取した水田土壌および玄米について,土壌特性および玄米中元素濃度がまとめられたデータセットを用い,重回帰分析を用いて玄米中Mn濃度の変動に対する未知の環境因子の抽出を試みた。土壌特性のみを用いた場合,置換性Ca, 土壌中Li, N, Zn, La濃度が,作物中元素濃度データも加えた場合は土壌中Rb濃度,玄米中P濃度およびCu濃度が抽出された。さらに,同様の手法を他の農作物について検討した結果,ダイコンと小麦は玄米と同様の項目で作物中Mn濃度の変動を説明できることが示された。