2018 年 31 巻 2 号 p. 68-79
日本を含む先進国9カ国を対象に,各国の気候変動適応計画の総合性確保の手法や具体化の程度に着目し,その傾向を分析するとともに,適応計画の進化の類型化を試みた。その結果,総合的かつ理念的な戦略等を示した後に総合的かつ具体的な適応計画を策定する例,最初から総合的かつ具体的な計画を策定する例,総合的な枠組等を示した後,省庁(分野)別適応計画や当該国にとって最も重要な分野の適応計画のみを策定する例,総合的な枠組や戦略の提示までに留まり,以降は地方別等の計画・取組に委ねる例の4つに大別された。このような違いが生じる背景には,地域単位の強力かつ包括的な指針の存在(EU適応戦略パッケージ),地理的特性の違い,法律や大統領令の有無等があると考えられた。