環境科学会誌
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特集論文
環境情報を踏まえた参加型計画プロセスの設計—既存研究と高島市朽木地区における実践を踏まえた考察—
小野 聡 木村 道徳
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2019 年 32 巻 2 号 p. 65-74

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抄録

本稿では,近年の計画における参加に関する研究を概観して参加の場の設計についての枠組みを得た上で,高島市朽木地区における参加設計の実践について報告する。計画への参加の設計に求められる要件は,提供される情報の科学性とそれに関する適切な応答に基づきつつ,地域主体の多元的な物の見方を前提にした事実理解の共有,およびそれに基づいた地域全体および個々人の行動計画の策定に重心が移行しつつある。本稿では既存研究を概観する上で「計画プロセス」と「情報処理プロセス」の二軸を設定し,そのもとで複数の既存研究で行われている,共同事実確認やゲーミングシミュレーションといった参加設計の特徴を明らかにした。その上で,筆者らの研究グループがアクションリサーチを行う,滋賀県高島市朽木地区における計画プロセスに関する実践例を整理した。アンケート,住民対話,および円卓会議といった3つの参加の回路についてそれぞれの特性について分析し,達成点と課題について考察をした。

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