環境科学会誌
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一般論文
東日本大震災からの復興土地区画整理事業による地形改変量の推計
杉本 賢二
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2026 年 39 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

東日本大震災の被災地域では,復興土地区画整理事業による丘陵地での宅地開発や土地の嵩上げといった,大規模な人為的地形改変が行われた。本研究では東日本大震災からの復興土地区画整理事業による地形改変を明らかにすることを目的とする。そのために,地表の高さ情報であるDEM(数値標高モデル)を用いた震災後から現在までの標高差分と,復興土地区画整理事業の区域とを重ね合わせ,事業区域における地形改変を推計した。その結果,対象とした65地区の地形改変量は6,440万m3,面積当たりの地形改変量(改変強度)は4.4 m3/m2と算出された。改変強度の値は,過去の人為的地形改変と比較すると小さい値であるが,事業が広範囲で実施されていることから,復興土地区画整理事業による地形改変は顕著であったといえる。地区別にみると,地形改変量が最も多い地区は陸前高田市今泉地区が1,169万m3であり,次いで陸前高田市高田地区が1,053万m3,女川町中心部地区で849万m3と推計された。改変強度が大きい地区は,陸前高田市の今泉地区や東松島市の野蒜北部丘陵地区,女川町の宮ケ崎地区など,丘陵地に宅地が造成された地区であるという特徴が明らかになった。また,ほとんどの地区で地形改変の増加量と減少量に差異があり,地域内からの土砂搬出や地域外からの土砂の搬入があったことが示唆される。したがって,復興土地区画整理事業による地形改変は,事業実施区域内だけにとどまらず,区域外の地形改変にも及んでいることが示された。今後の展開として,データ整備と公開が進んでいる高解像度DEMや3次元点群データを用いた,詳細な地形改変の把握が挙げられる。

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