気候変動などの環境問題に対応するためには,技術革新に加え,日常生活における個人の環境配慮行動の促進が不可欠である。本研究では,町内会,労働組合,宗教団体などの非国家主体への所属が,個人の環境配慮行動に与える影響を明らかにすることを目的とした。日本国内の市民を対象としたインターネット調査データ(有効回答数2,452件)を用い,緩和行動及び適応行動を被説明変数(従属変数)とした計量分析を実施した。分析では,個人属性に加えて,NEPスケール,互恵性,脱物質主義的価値観,リスク選好及び時間選好などの心理的要因をコントロールした。その結果,町内会及び労働組合への所属は,複数の環境配慮行動に対して統計的に有意な関連が確認された。一方,宗教団体,環境自然保護団体,その他のNPO・NGOについては,行動によってわずかな関連が見られる場合もあったが,有意かつ一貫した関連は確認されなかった。これらの知見は,地域コミュニティや職場に根ざした非国家主体が,個人の環境配慮行動を後押しする可能性を示唆している。