環境科学会誌
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2024年シンポジウム
脱炭素地域づくりに貢献する地域主導型エネルギー計画・評価の社会実装展開
平野 勇二郎 藤田 壮中村 省吾五味 馨磯崎 恭一郎安達 健一
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2026 年 39 巻 1 号 p. 26-42

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抄録

脱炭素社会を実現するために,地域における再生可能エネルギー利活用や,その需給バランス調整のための地域エネルギーマネジメントが重要である。本研究では,福島県新地町において著者らがこれまでに進めてきた環境配慮型の復興まちづくり支援の事例を紹介し,その実現に至るプロセスを整理するとともに,他地域へ展開する評価手法を構築した。具体的には,まず著者らが構築した住民向け地域ICTシステムとその電力消費モニタリングについての事例を紹介し,地域エネルギーマネジメントの評価に利用可能な電力需要予測手法を提案した。この結果,既存の原単位法と同程度の簡便なパラメタリゼーションで気温変化の影響を踏まえた需要予測手法を確立し,再生可能エネルギーの気象による出力変動と対応した需給バランス調整のポテンシャル評価が可能になった。次に,JR新地駅周辺の拠点地域において地域エネルギー事業を実現した事例を紹介し,電力・熱供給実績データからコージェネレーションシステムの運用実績を評価した。この結果,現段階では需要側が当初の想定を下回った状態での運用であるが,コージェネレーションシステムは概ね良好なパフォーマンスを発揮していることが確認された。その上で,これまでの知見を他地域へ展開するための評価システムを構築した。著者らは新地町の地域エネルギー事業をモデルとした地域エネルギー計画・評価を従前から行ってきたが,本研究ではとくにエネルギーマネジメントのシミュレーションを高度化し,新地町において再生可能エネルギー導入拡大を想定した評価事例を示した。ただし,評価結果は想定したシナリオに依存するため一般性があるとは言えず,あくまで定量化する仕組みを構築した点に意義があると考えている。今後,一般的な知見を得るために評価事例を蓄積する必要がある。

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