抄録
開発途上国において,未処理の産業排水が農地の灌漑水として用いられ,農作物に悪影響を与える例が見られる。そこでインドの蒸留酒製造所の廃水に関して,農作物[カウピー(Vigna sinensis L)とラッカセイ(AYachis hypogaea L)]に与える影響と処理に関する情報を得るために本研究を行った。その結果,廃水原液を用いた場合,植物のカタラーゼ,ペルオキシダーゼ,硝酸還元酵素,亜硝酸還元酵素などの活性が低下した。作物の成長に関する形態学的パラメーターについても検討した。蒸留酒製造所の未処理廃水はBOD値が大きく,多くの懸濁粒子を含み,溶存酸素はほとんど見られなかった。希釈廃水による試験の結果,25%に希釈した廃水では,顕著な影響は見られなかった。