環境科学会誌
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環境家計簿を応用した消費行動改善のための適応型環境管理システムの提案
福島 康裕山下 真由子平尾 雅彦
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2005 年 18 巻 2 号 p. 103-113

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抄録

 環境問題や持続可能性に関しては膨大な量の研究や資料が発表されている。しかし,多様な特徴を持つ消費者が,これらの成果の中から自らの消費行動と関連した情報を入手することは困難であるため,家庭での消費活動を実際に管理し改善するために十分に利用されていない。そこで,消費者の行動の改善に役立つ適切な情報の入手,日常の消費活動の管理,そして各家庭における消費パターンの問題点の発見支援のための環境管理システムの開発が必要である。本研究では,環境家計簿を応用した消費行動改善のための環境管理システムの枠組みを提案する。そのためにまず,環境家計簿を用いた環境管理の利点に着目し日本各地で発行され配布されている環境家計簿の調査を実施した。その結果,消費者の特徴や持続可能性の地域特性に適応して個別化された情報提供が有効であるという仮定をたてることができた。そこで次に,環境家計簿を応用してそのような機能を実現するような環境管理システムの枠組みを設計した。ここでは,目指すシステムにおけるアクティビティと情報の流れが詳細に検討された。より具体的には,環境家計簿の個別化の手順を含む運用方法を機能モデル化手法であるIDEF0によって表現し,システムに必要な機能や蓄積すべき情報の種類とそれらの間の関係を明確に定義した。また,作成した機能モデルに基づいて環境家計簿項目データベースを開発し,提案するIDEF0機能モデルによる枠組みにしたがって,実際に環境家計簿の個別化とその取り組み結果の調査を実施した。ただし,本研究では個人に個別化するのではなく具体的な消費者のグループを想定し,CO2排出量低減という持続可能性要件を選択した。その際に個別化に必要となった情報や消費者から回収された取り組み結果を機能モデルと対応させて,IDEF0機能モデルを検証した。

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