環境科学会誌
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循環型社会に向けた銅資源リサイクル推進の必要性に関する研究
時松 宏治黒沢 厚志小杉 隆信八木田 浩史
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2005 年 18 巻 2 号 p. 93-102

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抄録

 本研究では数理計画法による鉱物資源モデルを作成し,別途作成した4つのIPCC・SRESシナリオをベースとした銅需要シナリオに対して,21世紀の銅需給シミュレーションを行った。作成したモデルは,世界10地域分割,時点は2000年~2100年の1期10年,2100年までの需要を満たす鉱物資源供給コストの割引後総和の動学的最小化問題とした。考慮したプロセスは鉱物資源の採掘・選鉱,輸送(輸出入),精錬・精製,リサイクル,ストックである。これを用いて21世紀の銅資源の需給ギャップをリサイクルで満たすために,リサイクル推進の目標値はどの程度とすべきかを算出した。結果は,10年間で2倍のバージン銅の増産が可能,リサイクル銅の供給限界を需要の90%まで可能,リサイクル率の改善が10年間で2.5倍まで可能,などの設定により,全ての銅需要シナリオ下で求解可能となり,21世紀後半には制約上限の90%のリサイクル率を維持することで需要を満たす結果が得られた。今後増大が予想される銅需給乖離をリサイクルだけで満たそうとすると,相当なリサイクルの推進が必要とされることが示唆された。

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