環境科学会誌
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都市大気中の光化学オキシダント測定値に対するNOxの影響の実態とその補正法
板野 泰之浅山 淳斎藤 良幸坂東 博竹中 規訓森 義明
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2005 年 18 巻 2 号 p. 115-122

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抄録

 中性ヨウ化カリウム法(KI法)に基づく光化学オキシダント測定値に対する窒素酸化物(NOx:NO+NO2)の干渉を再評価した。NOもNO2と同程度に干渉し,NO/NO比によらずNOx濃度に対して一次の干渉を示すことが確認された。そのNOxの干渉率は,NOx濃度に対する光化学オキシダント測定値の散布図から推定できることがわかった。実際に過去の光化学オキシダント濃度の常時監視データについてNOxの影響を見積もった結果,平均で3.7%の干渉率であった。NOxが高濃度で存在する大阪市のある測定局では,通勤時間帯にNOxの干渉が光化学オキシダント測定値の30%にも達することがあることがわかった。また昼間(5-20時)の光化学オキシダントの年平均値はNOxの干渉により3ppb程度過大評価されていた事も示された。NOx濃度が高い都市域での光化学オキシダントの測定値に対しては,NOxの干渉は非常に重大な影響を及ぼしている可能性が示唆された。

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