環境科学会誌
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ウニを用いた海水汚染のバイオアッセイ
小林 直正
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2005 年 18 巻 2 号 p. 155-167

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抄録

 汚染海水の有害性をウニを用いた生物検定で調べた。試水はウニの生活環で以下の感度の川頁一生殖細胞形成,精子+卵,精子,卵,変態,プルテウス,嚢胚,受精,細胞分裂,胞胚,成体一で阻害した。 一般的には,精子と卵を試水中で合わせると受精,発生が行われる。多糖(多極分裂),永久胞胚,発生遅滞,骨無嚢胚,アポロ宇宙船様嚢胚,外腸胚,放射状胚等の異常が亜鉛,ニッケル等の存在する水で現れた。34年間の和歌山県田辺湾付近の海水の生物検定で,強汚染海水を1970~1976年と1982~1987年に見出した。1970~1976年は一般的な汚染でその後正常な状態へと移行した。しかし,1982~1987年はTBT(養殖筏や漁船に塗られた防汚塗料に含まれる)による影響と思われた。また鉱山廃坑からの廃水も生物検定と化学分析を行った。各種発生異常が認められ,亜鉛等に因るものと思われた。

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