抄録
河川底質における有機物の分解能を評価するための指標として,底質の4種の加水分解酵素の活性を測定した。底質のアミラーゼ,セルラーゼ,ウレアーゼおよびホスファターゼ活性を比較的簡便な方法により測定できた。これらの方法では底質中に共存する物質の影響を受けない。 多摩川の7地点の底質の4種の酵素活性は,総有機炭素量,総窒素量,呼吸速度との間に相関性が認められ,酵素活性が底質中の微生物による有機物代謝活性を反映していると考えられた。 一方,底質には酵素活性阻害作用に対する緩和作用が存在し,底質中の微生物による分解作用の維持に寄与していることが考えられた。