日本顎口腔機能学会雑誌
Online ISSN : 1883-986X
Print ISSN : 1340-9085
ISSN-L : 1340-9085
原著論文
グミゼリーを用いた咀嚼能率評価法における視覚判定,成分溶出および粒度解析の関係
杉本 恭子橋本 恵稲田 絵美覺道 昌樹神野 洋平田中 恭恵田中 睦都中村 真弓林亜 紀子星野 正憲美甘 真宮嶋 隆一郎李 真佐々木 啓一沖 和広山本 雅章近藤 重悟小野 高裕野首 孝祠皆木 省吾
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 18 巻 2 号 p. 125-131

詳細
抄録
咀嚼能力はその評価すべき特性の多面性からこれまでに直接的及び間接的な評価法が多数検討されており,グミゼリーを被験食品とした研究では,成分の溶出計測や粉砕状況に応じたスコア化など種々の評価法を用いた報告がなされている.しかし,グミゼリー食塊粒子の詳細な粒度解析と成分溶出との関係についてはいまだ明らかになっていない.
 そこで本研究は,検査用グミゼリーを被験食品として含有β-カロチンの溶出量と,視覚判定による咀嚼能率スコアならびに画像解析による粒度解析との比較を行うことを目的とした.被験者は,成人健常有歯顎者17名(男性9名,女性8名,25~53歳,平均30.8±6.9歳)とした.粒度計測はデジタル画像解析にて行い,β-カロチンは35℃の水に対する規定条件下での溶出量を評価した.咀嚼能率スコアは標準画像との比較により視覚的に決定した.咀嚼能率スコアと被験食塊中の最大粒子面積との間には有意の負の相関関係(p<0.001)が認められた.また1 mm2~50 mm2の面積をもつ粒子の合計面積が咀嚼塊総面積に占める比率と溶出評価用センサ出力電圧との間に有意の負の相関関係(p<0.001)が認められた.以上の結果より,検査用グミゼリーからのβ-カロチン溶出量,目視による咀嚼能率スコアならびに粒度解析の結果は互いに相関関係が認められることが示された.
著者関連情報
© 2012 日本顎口腔機能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top