日本顎口腔機能学会雑誌
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原著論文
咀嚼筋筋電図バイオフィードバック訓練による日中クレンチング抑制効果の持続性に関する検討
渡邉 明木村 英敏佐藤 雅介大塚 英稔斉藤 小夏菅原 絹枝橋戸 広大岩瀬 直樹猪野 照夫藤澤 政紀
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2016 年 22 巻 2 号 p. 109-119

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抄録
これまで,日中のクレンチングが口腔領域に悪影響を及ぼすパラファンクションであると考えられているものの,治療法の確立には至っていない.それに対し,日中に行う咀嚼筋筋電図バイオフィードバック訓練(EMG-BF訓練)が日中クレンチングに対して抑制効果を与えるという報告がなされているものの,その持続性に関する検討は行われていない.今回,EMG-BF訓練による日中クレンチング抑制効果について,訓練終了1カ月後における持続性を検証することを目的として,本研究を行った.
 咬筋に軽度の筋痛を有する12名のクレンチング自覚者(男性7名,女性5名,平均年齢:31.5±6.3歳)をバイオフィードバック群(BF群)とコントロール群(CO群)にそれぞれ6名,無作為に割り振り実験を行った.側頭筋を対象とし,EMG-BF装置を使用し筋電図を測定した.日常生活環境下で連続する4日間とその1カ月後に,日中各5時間の測定を行った.1日目,4日目および1カ月後にEMG測定のみ行い,それぞれpre-test,post-testおよびfollow-upとした.BF群では,クレンチング時に電子音によるBF信号が発生し,クレンチングを認識させるEMG-BF訓練を2日目と3日目に2日間連続で行った.CO群ではいずれの測定日においてもBF信号を発生させず,EMG測定のみ行った.
 1日目のイベント数において,BF群(7.3±5.1回)とCO群(7.5±3.1回)の間に有意差は認められなかったが,BF群4日目(2.3±1.5回)と1カ月後(2.0±1.1回)で,1日目のイベント数(7.3±5.1回)に対して有意な減少を認めた(p < 0.05;Wilcoxon with Bonferroni's inequality test).
 実験の結果から,日中のクレンチングに対して行ったEMG-BF訓練が,クレンチング発現に対する抑制効果を発揮し,その効果は1カ月後でも持続することが示唆された.
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© 2016 日本顎口腔機能学会
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