日本顎口腔機能学会雑誌
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原著論文
咬合接触状態が安定域と重心動揺に及ぼす影響
三浦 寛貴
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2016 年 23 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
【目的】本研究は咬合接触状態の変化が姿勢制御にどのような影響を及ぼすのかを検討するため,下顎安静位,15%噛みしめ,30%噛みしめの3条件における安定域面積,重心動揺面積,姿勢安定度評価指標を比較検討した.
【対象と方法】対象は研究参加に同意を得た,顎口腔系を含む全身に異常のない健常若年男性26名とした.測定は足圧分布計を使用し各条件での安定域面積,重心動揺面積,姿勢安定度評価指標を計測した.
【結果】安定域面積は各条件間において有意差を認めなかったが,噛みしめ強度が大きくなるにしたがい拡大する傾向がみられた.重心動揺面積は15%噛みしめが30%噛みしめに比べて有意な減少を認めた.姿勢安定度評価指標は15%噛みしめと30%噛みしめとの間に有意差が認められ,15%噛みしめにおいて姿勢が安定することが示された.
【結語】咬合接触状態が姿勢制御に影響を与えることが示唆された.特に,噛みしめの強度によって与える影響が異なることから,動作や運動パターンによって噛みしめの役割が異なると考えられる.
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© 2016 日本顎口腔機能学会
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