2023 年 29 巻 2 号 p. 126-127
I.目的
口腔灼熱痛症候群(burning mouth syndrome:BMS)の病態は不明だが,心理社会的因子の他,神経障害性疼痛との関連が示唆されている1).Watanabeら2)は,定量的感覚検査(quantitative sensory testing:QST)による感覚閾値の測定結果から,BMSにおける神経障害性疼痛の関与を示唆した.一方,Hondaら3)は,QSTと心理テストの結果から,神経の機械的感受性より,心理社会的要因がBMSの病態に重要な役割を担っているとの見解を示している.
BMSの治療法は未確定だが,カプサイシンやリドカインによる局所薬物療法の有効性が示唆されている1).それらの有効性を検討するために,前段階として,健常者を対象とした先行研究があるが4),われわれはリドカインに着目し,研究を行ってきた5).
BMSの疫学的特徴は,患者の多くが中高年女性である1).そのような背景を踏まえると,研究の前段階としては,これまでのように,若年の健常女性だけでなく,中高年,特に,好発年齢である50代の健常女性を対象とし,若年女性との比較を行うことが重要であると考えた.
本研究は,年代の異なる女性(50代と20代)の舌の感受性と,リドカインによる反応を,QSTで評価し,両者を比較検討した.