日本顎口腔機能学会雑誌
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学術大会抄録
高齢者に対する新規口腔リハビリテーションの検討
石井 優貴飯田 崇山川 雄一郎岩田 好弘小見山 道
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2024 年 31 巻 1 号 p. 20-22

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抄録

Ⅰ.目的

 超高齢社会を迎え,高齢者の健康維持・フレイル予防は重要な課題となっている.また,高齢者における口腔機能の低下が,栄養状態を介して身体機能,認知機能に影響を与えることが報告されており1,2),高齢者における口腔機能低下の早期予防ならびに低下した口腔機能の回復は,歯科領域のみならず,フレイルや認知機能低下の予防,あるいは高齢者の生活の質向上といった観点においても,貢献度は高いものと考えられる.これまでに口腔リハビリテーションとしてガムを用いた咀嚼訓練が高齢者の口腔機能維持,改善に有用と報告されている3).しかしながら,ガムを用いた咀嚼訓練は,認知機能や嚥下機能が低下した高齢者において窒息,誤嚥性肺炎のリスクを伴うとともに訓練方法の定量化が困難であると考えられる.したがって,より侵襲性の低く,安全性の高い咀嚼トレーニングの確立は高齢者の口腔機能低下に対する対処手段として今後必要になると考えられ.

 さらに過去の疫学調査より,高齢者の平均臼歯残存歯数は,60~69歳(11.1本),70~79歳(8.0本),80~89歳(5.1本)であり4),下顎大臼歯は歯の喪失頻度が高いと報告されている5).したがって,残存歯を考慮した口腔リハビリテーション方法の確立も必要と考えられる.

 本研究は,高齢者を対象とした,歯の欠損状況に影響を受けない,非侵襲的で定量化可能な口腔リハビリテーション方法の確立を目的とした.

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