2026 年 32 巻 1 号 p. 100-102
Ⅰ.目的
閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive sleep apnea: OSA)は,睡眠中の気道閉塞や狭窄に起因する無呼吸・低呼吸イベントによって,間歇的低酸素状態が頻回に繰り返される疾患である.OSAは睡眠時ブラキシズム(Sleep bruxism: SB)の併存率が高く1),SBの危険因子の一つとされている.
しかし,OSAとSBの病態関連性を調べた先行臨床研究では,睡眠中の個々の無呼吸・低呼吸イベントが咀嚼筋活動を必ずしも誘発するとは限らないことが報告されており2),OSAとSBの病態生理学的な因果関係は不明な点が多い.
さらに,OSAによる慢性的かつ間歇的な低酸素状態は,中枢神経系に影響を及ぼす.実験動物では,慢性間歇的低酸素(Chronic intermittent hypoxia: CIH)負荷により,呼吸運動調節に関する中枢神経系の活動性が亢進することが報告されている3).したがって,長期にわたるCIH状態が,顎運動を制御する中枢神経系の活動性を変調させる可能性が考えられる.これらのことより,CIH負荷が顎運動制御に関わる三叉神経前運動ニューロン群の活動を亢進し,睡眠中の顎筋の活動が上昇すると仮説を立てた.そこで,免疫組織学的手法と電気生理学的手法を用いて,CIHに対する三叉神経前運動ニューロンと睡眠中の顎筋活動の応答性を解析した.