2026 年 32 巻 1 号 p. 108-109
Ⅰ.目的
咀嚼・嚥下機能に影響を与える食品の要素として,物理的特性や味などが挙げられる.味の中でも特に酸は, 嚥下誘発効果を有することが報告されている1).一方で, 咀嚼機能や,咀嚼から嚥下に至る一連の過程における影響については未だ不明な点が多い.
咀嚼・嚥下機能の評価方法には, 食感や飲み込みやすさといった主観的評価と,咀嚼・嚥下時の筋電図評価や食品の物性評価などの客観的評価がある.しかし,主観的評価と客観的評価の両評価項目間の関連性については, 未だ明らかではない.この関連性が明らかになれば,比較的手順が煩雑な客観的評価を行わなくても,簡易的な主観的評価のみで,個々人の嗜好を加味し,かつ咀嚼・嚥下機能に適した安全な食品を選択できる可能性がある.
我々は, 第72回大会において, 酸が咀嚼筋筋活動に有意な影響を与えること,さらに評価項目間の相関関係について,健常若年成人を対象とした研究結果を報告した.
本研究では,健常高齢者を対象に, 咀嚼・嚥下機能の主観的・客観的評価を同様に実施し, その特徴を検討することを目的とした.