2026 年 32 巻 1 号 p. 60-61
Ⅰ.目的
食品の安全な経口摂取のためには,個々人の咀嚼・嚥下機能に合わせた食品特性を考慮する必要がある.咀嚼・嚥下機能に影響を与えうる食品の要素としては,硬さ,凝集性,付着性などの物理的特性が重要である1).一方,嚥下機能には食品の味の要素も影響し,酸味が嚥下誘発効果を有することが報告されている2).しかし,咀嚼機能,あるいは咀嚼から嚥下に至る一連の過程において,味の要素が及ぼす影響は未だ不明な点が多い.
咀嚼・嚥下機能の評価方法は,食感や飲み込みやすさといった患者の主観的評価と,咀嚼・嚥下時の筋電図評価や食品の物性評価などの客観的指標を用いた評価がある.しかし,主観的評価と客観的評価の両評価項目間の関連性については不明な点が多い.この関連性が明らかになれば,比較的手順などが煩雑な客観的評価を行わなくとも,簡易的な主観的評価のみで個々人の嗜好や咀嚼・嚥下機能に適し,安全な食品を選択できる可能性がある.
そこで本研究は,健常若年成人を対象として,物性と酸味の異なるグミを被験食品とし,咀嚼・嚥下時において主観的評価および客観的評価を行い,さらに,これら各評価項目について関連性を調査した.