日本顎口腔機能学会雑誌
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小児期に多く認められるブラキシズム
―新たな消化器内科学的考え方について―
宮脇 正一
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2006 年 13 巻 1 号 p. 16-20

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抄録
ブラキシズムとは, 咀嚼筋群が何らかの理由で異常に緊張し, 上下の歯を無意識にこすり合わせたり, くいしばったり, 連続的にカチカチとかみ合わせたりする習癖で, 歯科医学の分野では, 異常機能活動 (parafunction) と考えられている.また, 睡眠医学の分野では, 睡眠時ブラキシズムは睡眠時随伴症 (parasomnia) に分類されている.ブラキシズムは, 歯ぎしり音による同居者への睡眠妨害の他に, 歯の咬耗や楔状欠損等に起因する知覚過敏, 補綴物の破損, 歯周病の悪化, 歯根吸収, 歯肉退縮, 咬筋肥大, 咀嚼筋の疲労感やこわばり, 一時的な頭痛および顎関節症等の様々な口腔疾患を引き起こすことが報告されている, さらに, ブラキシズム患者は子供に多く認められ, その後経年的に頻度が低下すると報告されている.ブラキシズムの関連因子として, これまで, 微小覚醒などの睡眠時の覚醒現象, 睡眠時無呼吸, 脳内神経伝達物質, 喫煙, カフェイン摂取, ストレス, 遺伝的・家族的要因, 身体運動ならびに体位などが報告されてきた.これらに加えて, 私共はブラキシズムが嚥下や胃食道酸逆流と関連があるかもしれないことを報告した.本稿では, このようなブラキシズムに関する基礎的なことに加えて, 新たな消化器内科学的考え方について記す.
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