日本顎口腔機能学会雑誌
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加速度を指標とした下顎運動時における体動観察の試み
山辺 芳久藤井 弘之
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1997 年 3 巻 2 号 p. 121-129

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抄録
下顎運動時における頭部, 頸部そして体幹の動きの観察に加速度計を応用できる可能性について検討した.頭部および頸・体幹部が無拘束な直立椅座位で, 下顎tapping運動時の1) 頭部と下顎の上下方向における動揺, 2) 頭部, 下顎と頸・体幹部の前後方向における動揺を, 圧電型加速度計を用いて測定した.
加速度計は前額部, オトガイ部そして第6頸椎 (C6) , 第12胸椎 (T12) および第3腰椎 (L3) の棘突起相当部に貼付した.加速度波形は下顎運動曲線 (MKG) と同時記録し, 以下の結果を得た.
1. オトガイ部で測定した加速度波形の原波形には, 下顎tapping運動の個々のストロークには対応しない低周波成分と, 咬合接触時点に同期して現れる高周波成分が重畳していた.前者はほぼ2Hz以下の体動成分, 後者は100Hz以上の歯の接触振動成分と考えられた.
2. 2Hz以下および100Hz以上を遮断したオトガイ部加速度波形の変化は, 開・閉口相初期の下顎運動曲線の変化と時間的に対応し, かつ, 変位の方向も一致した.
3. 下顎開閉運動に伴う頭部・頸椎下部および体幹部の動揺を観察した.これら動揺は記録部によって特定の方向に集中する傾向があった.
4. 以上のことから, 加速度計を用いて下顎開閉運動時の体動, 特にその方向を観察できることを確認し
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