日本顎口腔機能学会雑誌
Online ISSN : 1883-986X
Print ISSN : 1340-9085
ISSN-L : 1340-9085
顎関節症を伴う不正咬合患者の側面顎顔面形態と咬合力の関連に関する研究
山田 一尋福井 忠雄森田 修一花田 晃治河野 正司山田 好秋
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 4 巻 1 号 p. 59-65

詳細
抄録
顎関節症患者の側面顎顔面形態と咬合力の相関関係を調べるために咬合力感圧シート (Dental Prescale 50HR type) を用いて, 矯正女性患者42名 (顎機能正常者23名, 顎関節症患者19名) の咬合力, 側面顎顔面形態を調べ, 以下の結論を得た.
1.側面頭部X線規格写真の計測では, 側面顎顔面形態は顎機能正常者と顎関節症患者の間に有意差は見られなかった.
2.歯列全体の咬合力は顎機能正常者では768.8±525.8N, 顎関節症患者では438.1±380.1N, 咬合接触面積は顎機能正常者では12.9±11.9mm2, 顎関節症患者では6.4±2.8mm2, 平均咬合圧は顎機能正常者59.8±13.4kg/mm2, 顎関節症患者68.9±9.Okg/mm2で両群間に有意差を示した.
3.各歯の咬合力, 咬合接触面積, 平均咬合圧は後方歯にいくにしたがい増加した.臼歯部では咬合力, 咬合接触面積, 平均咬合圧に顎機能正常者と顎関節症患者で有意差を示した.
4.側面顎顔面形態と咬合力は歯列全体ではMandibular plane angle, Gonial angleと負の相関, L1 tomandibular plane angleと正の相関を示し, 臼歯部ではMandibular plane angle, Gonial angle, Occlusal planetoFHと負の相関, LI to mandibular plane angle, U1-SNと正の相関を示し, 小臼歯部ではMandibular planeangle, Gonialangleと負の相関を示した.
5.顎関節症患者では咬合力と側面顎顔面形態は相関を示さなかった.
以上から, 顎機能正常者では咬合力と側面顎顔面形態が関連し, 顎機能異常者では咬合力と側面顎顔面形態が関連しないことが示された.
著者関連情報
© 日本顎口腔機能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top