日本顎口腔機能学会雑誌
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歯根膜感覚情報がラット副腎髄質機能に及ぼす影響
池田 圭介真貝 富夫高橋 義弘山田 好秋河野 正司
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1997 年 4 巻 1 号 p. 99-104

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抄録
歯根膜および閉口筋筋紡錘からの感覚情報が副腎髄質機能に及ぼす影響を調べる目的で, 麻酔ラットを用いて副腎交感神経活動, 下顎運動および咬筋筋電図を同時記録し解析を行った.大脳皮質の連続電気刺激によりリズミカルな下顎運動を誘発した.誘発されたリズミカルな下顎運動中, 副腎交感神経活動に明らかな変化は認められなかった.リズミカルな下顎運動中に, 上下切歯間に木片 (厚さ2mm) を挿入し咬合させると, 咬筋活動および副腎交感神経活動は増加した.木片を撤去すると, 副腎交感神経活動は木片の咬合前のレベルまで戻った.あらかじめ上顎神経および下歯槽神経を両側性に切断した動物では, リズミカルな下顎運動中の木片咬合による咬筋活動の促通効果は減少し, 副腎交感神経の活動には明らかな増加は認められなかった.リズミカルな下顎運動中に下顎を牽引することで筋紡錘感覚情報を増加させると, 咬筋活動は増加したが, 副腎交感神経活動には明らかな変化は認められなかった.また, 上顎切歯に手動で圧刺激を行った際には副腎交感神経活動の増加がみられ, この効果は持続圧刺激よりも反復圧刺激の方が大きかった.
以上の結果から, 歯根膜感覚情報が副腎交感神経活動を増加させることが明らかになった.
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