日本顎口腔機能学会雑誌
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咀嚼機能における片側咀嚼と自由咀嚼の比較
金田 恒木戸 寿明河野 正司河野 世佳豊岡 英一メディナ ラウル
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1997 年 4 巻 1 号 p. 91-98

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抄録
咀嚼は上下顎の歯により食物を切断, 粉砕する運動であるが, 嚥下可能な食塊を形成する行為でもある.この点から, 咀嚼を評価する際には, 食物の粉砕度のみに着目するのではなく, 食物を粉砕し, 固有口腔内へ送り, 嚥下に至るという一連の過程がスムーズに行なわれているかどうかを評価することも必要である.我々は咀嚼運動時に口腔内で生じている食物の粉砕粒子の移動に着目した評価を行なった.また咀嚼する方法には, 片側歯列のみで咀嚼する片側咀嚼と左右歯列を自由に乗り換えて咀嚼する自由咀嚼とが考えられる.しかし, 両者の機能的差異については明らかにされていない.
そこで本研究では片側咀嚼と自由咀嚼による咀嚼能力の相違について, 嚥下に要する咀嚼回数と, 口腔内における食物の粉砕粒子の移動の様相, つまり食物動態の観点から比較し, 咀嚼方法が咀嚼機能に与える影響を明らかにすることを目的とした.その結果, 嚥下に要する咀嚼回数は自由咀嚼時よりも片側咀嚼時が多く, 舌側への粉砕粒子の移動は片側咀嚼時よりも自由咀嚼時が速やかに行なわれていることが明らかとなった.
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