日本顎口腔機能学会雑誌
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開咬症例から見るアンテリアガイダンス
澤田 宏二河野 正司メディナ ラウル花田 晃治
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1999 年 5 巻 2 号 p. 135-145

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抄録

本研究は開咬症例の顎機能状態を多面的に観察することにより, アンテリアガイダンスの意義を明らかにすることを目的とする.
被験者は新潟大学歯学部附属病院矯正科外来を受診した, 前歯部開咬を主訴とする女性13名 (年齢15-27歳, 平均20.5歳) であり, 次の検査を行った.1) 咬合接触状態の確認, 2) 側面セファログラムによる顎顔面形態分析, 3) 顎関節症症状の有無, 4) プレスケールによる咬合力分析, 5) 6自由度顎運動測定装置TRIMETを用いた下顎運動の記録.
これらの検査から以下のような結果を得た.開咬症例は咬頭嵌合位での咬合接触状態により大臼歯のみが接触するM型と大臼歯と小臼歯が接触するMP型の2群に分類でき, M型には骨格的にII級傾向, MP型には骨格的にI級, III級傾向のものが多かった.顎関節症症状はM型, 特にII級の症例に認められた.MP型に比べて, M型では咬頭嵌合位でのクレンチング, タッピング運動時に顎位が不安定であり, 側方グラインディング運動時の作業側顆頭は大きく変位した.以上の結果より, 顎位, 及び顆頭の安定のためにアンテリアガイダンスは歯列のできるだけ前方にあることが重要であることが明らかとなった.

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