日本顎口腔機能学会雑誌
Online ISSN : 1883-986X
Print ISSN : 1340-9085
ISSN-L : 1340-9085
MKGの出力データにおける非直線性の補正
―基本的な咀嚼運動範囲―
志賀 博小林 義典栗山 聡三橋 博之鷹橋 真弓
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 5 巻 2 号 p. 147-154

詳細
抄録

MKGの機械的特性の改善の可能性を検討する目的で, はじめに, MKG Analyzerの補正式を用いてMKGの出力データ (一次データ) を補正し, 補正後のデータを二次データとし, 次いで, 各位置座標の二次データに対して補正用座標 (null positionから上方向に12.5mm, 下方向に22.5mm, 左右方向に各12.5mm, 後方向に22.5mmの範囲) のデータを用いて補正し, さらにそのデータを三次データとして求めた.これらの各データについて, それぞれの誤差率を算出し, 各データ間で比較した結果, 以下の結論を得た.
1.一次データの各位置座標は, 原点付近では実際の位置座標に近似し, 比較的良好な直線性を示したが, 原点から離れるに従って, 実際の位置座標と異なり, 非直線性を示した.
2.二次データの各位置座標は, 一次データに比較すると, 非直線性が改善されたが, 原点から離れるに従って, 実際の位置座標とは異なる非直線性を示した.
3.三次データの各位置座標は, 二次データよりもさらに非直線性が改善され, 直線性を示した.
4.一次データ, 二次データ, 三次データの各位置座標の誤差率の平均は, それぞれ29.5%, 8.7%, 1.6%であり, 一次データが著明に大きく, 以下二次データ, 三次データの順に小さくなり, 各2群間に高度な有意差がそれぞれ認められた.
5.これらの結果から, MKGの非直線性を示す機械的特性は, 適切な補正を加えることにより, 他の一般に市販されている下顎運動記録装置と同等, もしくはそれ以上の直線性に改善できることが示唆された.

著者関連情報
© 日本顎口腔機能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top