日本顎口腔機能学会雑誌
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食物取り込み時の食物の大きさが開口量と頭部運動量に与える影響
武正 道代河野 正司荒井 良明澤田 宏二小笠原 正卓石田 陽子
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2001 年 8 巻 1 号 p. 17-24

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抄録
食物取り込み時の開口量は食物の大きさに伴って変化することが報告されている.一方下顎運動には, その運動に協調した頭部運動が存在し, 開口時には頭部は後屈方向に, 閉口時には前屈方向に運動している.そこで, 種々の大きさの食物取り込み時における開口量の変化と共に, 同時に観察される頭部運動の詳細を測定, 分析し, 頭部運動の存在意義についても考察を試みた.被験者は顎口腔系に異常が認められず, 顎機能障害の既往を持たない, 本学大学院生および職員, 女性2名, 男性1名の計3名 (年齢24歳~26歳) とした.被験食品には一辺を6mmから35mmとした10種類の立方体のりんごを, 測定には6自由度顎運動測定装置 (東京歯材社製TRIMET) を使用し, 頭部無拘束状態で, 下顎運動と頭部運動の同時記録を行った.
実験結果は以下の通りである.
1.食物取り込み時には食品空隙が存在することが明らかとなり, その食品空隙は同じ大きさの食物取り込みの際には, 頭位に関係なくほぼ一定量を示した.
2.頭部運動量は頭位がFrankfort平面水平ではCamper平面水平に比較して大きくなる傾向を示し, 下顎機能時にもその運動を補う随伴運動として頭部運動が存在していることが示唆された
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