2024 年 39 巻 p. 111-126
本稿の目的は、婚活市場において「デート代は男性が支払うべき」というジェンダー的行為規範を支持するのはどの層かを明らかにし、現代の日本社会に残るジェンダー秩序を問い直すことである。分析には、筆者らの研究グループが、大手結婚相談サービスの会員を対象に2016年に実施した質問紙調査データを用いる。主な知見は以下の三点である。第一に、婚活市場において、男性は普遍的に「デート代は男性が支払うべき」という規範を持つ。第二に、女性では見解が分かれる。収入が低く、専業主婦願望があり、ファッションが趣味で、ルックスに自信があり、典型的には低学歴の女性はこの規範を支持しやすい。しかし、収入が高く、専業主婦願望がなく、ゲームが趣味で、立派な職業に就いている自負があり、典型的には高学歴の女性は支持しづらい。第三に、この規範は、男性やBMIが普通以上の女性では成婚に影響せず、BMIが低い女性において成婚確率を低める。