1986 年 11 巻 31 号 p. 29-43
建物の使用水量は,自然的,社会的,建物・設備的要因によって種々影響を受けるので,従来設計用データとして示されているような,一元的な原単位あたり使用水量では精度上必ずしも十分とは言えない.本研究は,各種建物の使用水量を精度高く推定するために,主要な水使用要因を考慮した多元的な予測式を導出することを目的としており,本論文第1報では事務所建築を対象に分析している.主な内容は次のとおりである.全国の主要9都市で実施した水使用実態調査結果を基に,建物・設備規模,使用水量・節水対策の実状,建物管理者の水使用意識などを分析するとともに,重回帰分析によって,原単位あたり使用水量の予測式を提案した.