抄録
地中熱空調システムの普及実用化において、熱交換器の採・放熱量を精度よく予測する必要がある。本研究では、地中の熱・水分移動シミュレーションコードに地中熱交換器モデルを組み込み、地中からの採熱量予測モデルの構築を行った。地中熱交換器が設置された場所の土壌特性を反映させたシミュレーションを行うためには土壌の熱伝導率や熱容量、地下水流れ特性として、透水係数や地下水位等の土壌物性値を把握する必要がある。そのため、地盤調査から得られる地盤データから地中熱移動シミュレーションに必要な土壌物性値を推定できる簡易な手法の提案を行った。さらに提案された採熱量予測モデルと地盤調査から推定した土壌物性値を用いて、千葉実験所で行なわれた地中熱空調システムの冷暖房実験データを用いて解析結果と実験結果との比較検証を行った。また、熱伝導率や熱容量、地下水流れ等の土壌の物性値が地中温度変化に及ぼす影響を把握するため各因子の条件変化の下での地中温度挙動の感度解析を行った。