抄録
幼児49名(3~6歳)と成人75名(18~23歳)を対象として、小さい数(1から4)の計数課題を遂行中の眼球運動を測定し、小さい数把を行う際の注視プロセスの発達差と個人差を検討した。参加者は、キャンディ型ドットが1から4個配置されている刺激画面に対して、ドットの数を答えるように教示された。刺激画面は集中条件(ドットが画面中央に集中して提示される)と、分散条件(画面全体に分散して提示される)の2種類であった。ドットへの注視時間と注視パターンを分析した結果から、幼児はドットを一つひとつ目で追い注視して数把握をする傾向が明らかになった。また、成人は全体的にはドットを注視しない傾向にあったが、幼児のように一つひとつを注視する傾向にある者も存在した。この結果から、小さい数の把握は発達的に継時的処理から同時的処理に移行していくこと、サビタイジングとして捉えられてきた小さい数の把握は、発達的にはカウンティングが自動化されたものであること等が考察された。