日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
骨粗鬆症がBMP-2の骨形成反応に及ぼす影響
土屋 奈央子小田島 朝臣山路 公造川浪 雅光
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 50 巻 6 号 p. 792-798

詳細
抄録

BMP-2の骨再生における高い有効性は広く知られているが,骨粗鬆症マウスでの報告はない.本研究の目的は,骨粗鬆症がBMP-2の骨形成反応に及ぼす影響を,病理組織学的観察および組織学的計測によって検討することである.実験には,5週齢(メス)のOCIF/Jcl(homo)KOマウス(骨粗鬆症群)とC57BL/6NJclマウス(正常群)を用い,BMP-2をおのおの0,1,5,10,15μg/mlに調整したアテロコラーゲンゲルを頭蓋骨膜下へ注入した.病理組織学的観察をし,新生骨量および骨密度の計測を行った.統計学的有意差検定にはMann-WhitneyのU検定を用いた.両群とも,濃度依存的に新生骨量が増加する傾向がみられた.群間で比較すると,BMP-2濃度が0および1μg/mlのときは,両群ともにほとんど新生骨を認めず,5および15μg/mlのときは,骨粗鬆症群のほうが有意に多かった.10μg/mlのときは,骨粗鬆症群のほうが多い傾向を示したが有意差はなかった.新生骨の骨密度は5,10,15μg/mlのとき,骨粗鬆症群のほうが有意に低かった.以上の結果より,骨粗鬆症群では,BMP-2による新生骨量は増加するものの,骨密度が低い骨が形成されることが示唆された.

著者関連情報
© 2007 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事
feedback
Top