日本歯科保存学雑誌
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原著
試作オペークレジンの検討 : 象牙質色を基本としたジルコニアフィラー充填オペークレジンについて
大場 志保福嶋 千春森 俊幸神谷 直孝岩井 啓寿小里 達也三田 肇池見 宅司
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2008 年 51 巻 4 号 p. 411-418

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抄録

審美修復にオペークレジンの必要性が認識されるようになった今日では,多種類のオペークレジンが市販されるようになった.しかし,オペークレジンの色の種類が多く,積層するコンポジットレジンとの組合せで多様な色となり,臨床の場で即時にそれらの組合せを判断して修復することは困難と考えられる.そこで,著者らはできるだけ少ない色の種類のオペークレジンを開発することで,その困難性を回避できるものと考え,TP値を背景色遮蔽と透過性の指標として研究を行ってきた.本実験では,まずオペークレジンのスタンダード色を求めるために,生活歯の全部被覆冠の支台歯を測色し,スタンダード色となるシェードを調べた.そして,ジルコニアフィラーの充填率を変化させたコンポジットレジンに,3種類の顔料を調合してスタンダード色のオペークレジンを作製した.それらのオペークレジンの上にシェードA1,A2,A3,A3.5,A4,B1,B2,B3,B4,C2,C3のコンポジットレジン試料を設置して接触型三刺激値直読式の測色器にてTP値を調べ,できるだけ少ないジルコニアフィラーの充填率で背景色遮蔽可能な少ない種類のオペークレジンを得ることを目的として実験を行った.その結果,以下の結論を得た.1. 生活歯象牙質の色は被験歯7歯のうち4歯がVitaシェードにおけるA3.5を示した.2. オペークレジン試料の背景色遮蔽効果は,ジルコニアフィラー充填率が高くなるに従って高い背景色遮蔽効果を示した.3. 積層試料の背景色遮蔽効果はジルコニアフィラー充填率が6%でA3.5シェードのオペークレジン試料であれば,積層したすべてのコンポジットレジンにおいてTP値2.0以下を示した.4. 積層試料のTP値予測に関しては,オペークレジン試料とコンポジットレジン試料のTP値から積層時のTP値を予測できる可能性が示唆された.

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