日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
アナターゼ型二酸化チタンの光触媒作用の解析
佐藤 将洋河瀬 雄治齋藤 喜久鍋山 篤史内山 真紀子安西 正明音琴 淳一山本 昭夫笠原 悦男
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 6 号 p. 619-626

詳細
抄録
アナターゼ型二酸化チタンの光触媒作用(Photocatalytic Effect)は,光を照射することにより触媒作用を示す光化学反応の一種と定義される.近年,歯科領域においてこのアナターゼ型二酸化チタンの光触媒作用を,歯の漂白などに応用する研究が行われている.本研究は,粒子径の違うアナターゼ型二酸化チタンであるST-01(平均粒子径約7nm)とST-21(平均粒子径約20nm)について,歯科領域での応用を踏まえて,粒子の観察,結晶構造の解析,光触媒作用の解析など基礎的データの収集を目的とした.二酸化チタン粒子の観察には,透過型電子顕微鏡(TEM)を,結晶構造と結晶性の解析は,X線回折装置(XRD)を使用した.光触媒作用の解析は,チタン含有メチレンブルー(MB)溶液の色素分解により判定した.MB溶液とST-01,ST-21の混合溶液を1.5mlセミミクロキュベットに採取し,UV(365nm)とLED(420〜480nm)の歯科用可視光線照射器の照射光を照射し,吸光度を計測した.ST-21よりも粒子径の小さいST-01に,より強い光触媒作用の効果が示された.また,照射光は,波長の短い光のほうがTiO2の光触媒作用の効果を強く発現させることが明らかとなった.一方,可視光線領域の波長でも光触媒作用の効果が認められた.
著者関連情報
© 2010 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top